キリムは遊牧民の生活から生まれた実用的な織物です。
またその歴史は絨毯より古いといわれています。
家畜とともに常に移動する遊牧民にとって、折りたたんで持ち運べるキリムは、今も昔もなくてはならない生活用具です。
敷物としてだけでなく、布団や衣類の収納箱、穀物など食品の収納袋、赤ちゃんのゆりかごなど、様々な用途に使用されてきました。
また同時に生活に彩りを添える装飾品でもありました。
遊牧民の女性たちは身近にいる羊、ヤギ、ラクダの原毛を紡いで糸にし、染色して織っていきます。
女の子が生まれると、結婚までに嫁入り道具として必要なキリムを準備します。
女の子たちは母や祖母、周りの女性たちが織るのを見ながら、織り方を学んでいきます。
色や模様は、身近にある自然や動物の他に、代々受け継がれた伝統的なもの、
部族や地域独特のもの、織り手の女性の感情、信仰や祈り等を表現したものもあります。
20世紀に入り私達の生活様式が変化した様に、遊牧民のそれも大きく変化しました。
現在遊牧で暮らす人々は激減しています。
そのため自分や家族の為に織られたキリムは40−100年前のものが多く、それらはオールドキリムと呼ばれています。
また100年以上前に織られたものはアンティークキリムと呼ばれています。
本来の遊牧生活から生まれたこれら2種類のキリムは、今では希少価値となりつつあります。
現在、新しく作られているキリムは、ニューキリムと呼ばれ、商業生産されるものがほとんどです。
化学染料を用いた機械織りもありますが、
キリムの伝統文化に沿って原毛から手紡ぎで糸を撚り、できるだけ天然染料を使い、伝統的な模様を再現する試みも進められています。 |