キリムのクリーニングについて

ドバッグ・プロジェクト
2017年4月2日

キリムのクリーニングについて

キリムは平らな敷物で、タペストリーなど幅広い用途で活用されています。
トルコをはじめとするメソポタミア地方、バルカン半島やパキスタンが有名な産地です。原始的でありながらモダンな要素が目立つ美しいデザインで、古来の技法を使い、独特の色彩を出した草木染めが最大の特徴といえます。
キリムは多くの場合、染めた横糸と白い経糸を織り合わせ、模様や色を作り出していきます。これがキリムの一番大きな特色であり、構造的にパイル(毛足)がある絨毯等とは大きく異なっています。この製織技法を平織りといいます。
キリムの中にはジジム織り、スマック織り、重ねつなぎ織り、スリット織りなど、異なる織り方が数多くあります。キリムは構造的な違いから、絨毯などに比べてより丁寧なクリーニングが求められます。ものによっては家庭で洗えるものもありますが、特に繊細な色彩をより長く美しく維持するためには、オールド、アンティークをはじめ、高価なキリムの手入れには、プロのクリーニング業者に依頼することをお勧めします。

キリム特有の構造

経糸に絡み合わせた横糸から構成されているキリムはパイルがなく完全に平らです。
この織り方はタペストリー用のテキスタイルに広く採用されており、単純に水平の横糸が垂直の経糸を覆っているため耐久性に優れています。着色糸(横糸)がキリム模様の端部(色の領域)に達すると、色の境界線に巻き戻されて、垂直線の外観に織り上げられます。異なる2色の領域間にスリットと呼ばれる切れ目が形成されます。その特徴からキリムは、スリット織物の最高級品とされています。
縦糸の先端部分はキリム両側の房(フリンジ)を形成し、フリンジ部分は横糸と一緒に織られていないため、パイル絨毯と違って、織り目が緩まない構造となっています。キリムの素材として、ほとんどの場合、縦糸・横糸共にウールが使われます。稀に、縦糸に綿が使われることもあります。

キリムの丸洗い工程

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キリムの丸洗いクリーニングを始める前に、検品し、シミの種類や補修必要箇所を特定します。特に草木染の手法によっては色落ちが心配されるものがあるため、予め鑑定試薬を使って診断します。それぞれのキリムに適したクリーニング手順や洗剤濃度を決定します。

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次に、回転式ほこり取り機をキリム専用の設定(低速度運転)にして、キリム繊維の隙間に溜まったホコリを完全に叩き出します。ホコリの除去はキリムの寿命を延ばすためには最も重要な作業です。

3

ホコリを完全に除去したら、キリム全体を染み抜き用の特殊溶液につけてシミや汚れを除去します。

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キリムの丸洗いには大量のぬるま湯を使います。検品時に種類や使用濃度を決めた特殊洗剤を利用し、色落ちしないよう、手ブラッシングによる水洗いをします。ここで重要なことは、平織りのキリムの繊維が痛まないよう、専用ブラシで丁寧にブラッシングすることです。

5

次は、汚れや石鹸が残らないように念入りにすすぎを行います。丸洗い中にアルカリ性になったキリム繊維を中和溶液に浸し、最後に脱水を行います。

6

キリム水洗いにおける最も肝心な作業は乾燥です。色落ちなどが心配されるため直射日光は避けた方が良いとされています。適切な乾燥温度に設定し、換気をしながら湿度を低く管理して、なるべく短時間で乾燥させる必要があります。

キリムの水洗いによるクリーニングを行った後、形状やサイズを矯正する必要があります。そして水洗いをすると、ウールはその性質上膨らんできます。この膨らみを戻すのにアイロン掛けをし、キリム本来の肌触りを取り戻します。

特にオールドやアンティークのような高価なキリムの場合には、水を使用できない時もあります。その時は、ドライクリーニングを施して、色合いや状態を保ちます。