ドバッグ・プロジェクト

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2017年4月2日
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ドバッグ・プロジェクト

ドバッグ(DOBAG)は1981年に設立されました。ドバッグという名称は、プロジェクトの正式名称でもある「自然染め研究開発プロジェクト」=「Doğal Boya Araştırma ve Geliştirme Projesi、D・O・B・A・G」の頭文字をとったものでます。ドバッグ・プロジェクトには、ドイツの経財協力省が「ドイツ・トルコ経済協力基金」の枠組みのなかで助成金を出すなど、両国行政機関のバックアップを受けて発足しました。ドバックの主な設立趣旨は輸出向けの草木染め(自然染め)絨毯(毛足のある)やキリム(平織り)を、トルコの伝統的なデザイン等を取り入れながら織る仕事を創り出すことで女性の社会進出を促し、特に農村地帯に住む女性の安定的な収入源を確保することです。

 イスタンブールのマルマラ大学美術学部内に、トルコ西部にある企業2社のサポートを得て、株式会社として創業されました。同大学の学部長がプロジェクトの代表となっており、プロジェクトリーダーをシェリフェ・アルテュハン教授が務めることになりました。また、ドイツのハラルド・ボーマー博士がコンサルタントとして参加し、運営委員としてネビン・エレズ教授やヤレジェプ・カラダー博士らが協力しています。

 具体的にドバッグ・プロジェクトでは、大学に常勤の専門職チームを結成し、地方の製織業者に染色や織り方に関する助言やサポートを無償で行っています。更に、完成品の絨毯やキリムの品質検査を実施し、一定の基準を満たした製品だけにドバック認定書を授与しています。運営委員会がプロジェクトの認知度向上と応援者づくりを促進するため、学会で論文を発表したり、新聞や雑誌に記事を出したり、実際に地方の絨毯製織現場を視察する啓発イベントを開催したり、幅広い活動を展開しています。この広報活動を安定的に継続させるための事業費は、各製造業者が年間売上の4%を大学に寄付することによって賄っています。

 ドバッグ・プロジェクトが指導する各メーカーは下記の事項を厳守して製織に励んでいます。

  • 100%トルコ産高品質ウールを使用して、縦糸・横糸・パイルに完全に手紡ぎの糸を使用すること。
  • トルコの伝統デザインを採用すること。
  • インディゴ(藍染)なども含む、100%草木染め(自然染め)の糸を使用すること。
  • 健康に有害とされている色止めを一切使用しないこと。
  • 染色作業の後工程として広く応用されている化学薬品洗浄を行わないこと。
  • 原則として全ての作業を製織工房ではなく、農村部の一般家庭で行うこと。

 ドバック・プロジェクトに協力企業として参加している2社は、25の町村に在住する350世帯の協力ファミリーを集めています。2社の内1社は、同業界におけるトルコ初の女性社長によって1989年に創業されました。

 プロジェクト発足の1981年以来、3万枚の絨毯とキリムが製造、販売されてきました。現在の年間製織能力は1400枚(一枚平均2m2)となっています。現在まで織られてきた中で最も大きいサイズの絨毯は36m2であり、英国のオックスフォード大学ソールズ・カレッジに納品されました。

 ドバッグ認定の絨毯やキリムには、マルマラ大学の革製標識札が付けられます。国際商標取得済みであるドバッグ・ブランドが印字されたこのタグは、絨毯が100%草木染めで、本物のトルコ伝統デザインであること保証しています。そしてタグには、織り手の名前の頭文字を取って作られた署名も入っています。

 ドバッグ絨毯の卸売りも完全に大学が管理しており、仲介業社などを一切使わず、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、アイルランド、英国、ドイツ、ベルギー、スイスや日本の認定小売店に直輸出されています。

 世界的に有名な美術館や博物館にもドバック絨毯が展示されています。そのいくつかを下記に紹介します。


  • 国立民族学博物館 - 大阪府
  • 大英博物館 - ロンドン・英国
  • ヴィクトリア・アルバート博物館 - ロンドン・英国
  • デ・ヤング美術館 - カリフォルニア州・アメリカ合衆国
  • 民族博物館 – ウィーン・オーストリア
  • スコットランド博物館 - エディンバラ・スコットランド
  • アジア文明博物館 - シンガポール